子どもに朝食は大切?集中力・体力を支える栄養と工夫

管理栄養士・料理家の板垣好恵です。
今日は子どもの朝ごはんをテーマにお話しをしていきます。

「朝はついパンだけで済ませてしまう」「食べさせたいけど、アレコレ作る時間がない」そんな経験はありませんか?

子どもにとって朝ごはんは、体や脳を動かすためのエネルギー源。食べる・食べないで、その日の集中力や学習意欲にも大きく影響すると考えられています。

朝ごはんが子どもに与える役割

子どもにとって、なぜ朝ごはんは大切なのでしょうか?

朝ごはんを食べることで体温が上がり、脳や体が活動モードに切り替わります。逆に食べないと、午前中にエネルギー不足で集中力が低下したり、体がだるく感じたりすることも。

具体的な役割は…

集中力アップ:脳のエネルギー源である糖質を補給できる 生活リズムが整う:毎朝食べることで体内時計が安定する、体が目覚める 体力の維持:欠食すると午前中に疲れやすくなる

文部科学省が行っている「早寝早起き朝ごはん運動」では、朝食を毎日食べている子どもほど学習意欲や体力が高い傾向があると報告されているんですよ【文部科学省, 2020】。

さらに厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では、子どもの欠食率(特に朝食を抜く割合)は学年が上がるほど増えるとされています【厚生労働省, 2023】。

食事は習慣化が大切ですから、幼稚園や小学生のうちから「朝ごはんを当たり前に食べる習慣」を身に付けたいですね。

朝に摂りたい栄養素は?

では、朝ごはんにはどんな料理や食材を取り入れるのが良いのでしょうか。
まず意識したいポイントは「糖質、たんぱく質、ビタミン・ミネラル」の3つです。

【糖質(ごはん・パン・果物)】 脳や体のエネルギー源となる糖質は、朝ごはんの中心に欠かせません。特に脳は糖質(ブドウ糖)しかエネルギー源にできないため、糖質不足は「ぼーっとする」「集中できない」原因になります。

【たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品)】 筋肉や血液、ホルモン、免疫細胞など体をつくる材料となるのがたんぱく質。朝からしっかり摂ることで代謝がスイッチオンになり、1日の活動がスムーズになります。

【ビタミン・ミネラル(野菜・果物・海藻など)】 体の調子をととのえ、免疫力や代謝に欠かせないのがビタミン・ミネラル。糖質やたんぱく質を効率よく使うためにも必要です。

朝ごはんの献立を考える際は、これらの栄養素が摂れる食材を取り入れるようにしましょう。

 

朝はパン派orごはん派?

皆さんのご家庭では、朝食は、パン派orごはん派どちらでしょうか?
栄養的な観点で見たときのおすすめや、それぞれどのような特徴があるのかを解説します。

おすすめは“ごはん”

ごはんは「おかず」を組み合わせる前提で食べることが多いですよね。 味噌汁、納豆、卵、焼き魚、野菜のおひたしなど、自然と定食のような形になり、栄養バランスが取りやすいのがメリットです。

和食中心の朝食をとっている子どもは、エネルギー・ビタミン・ミネラルの摂取量が高い傾向があることも報告されています【日本栄養改善学会誌, 2018】。

また、ごはんはパンに比べて消化吸収が緩やかで、腹持ちが良いのが特長です。
血糖値の上昇も緩やかのため、午前中の集中力が続きやすいのも子どもにとってうれしいポイントですね。

 

パンの場合の工夫

パンは調理に時間がかからず、子どもも手軽に食べられるので朝食に取り入れやすいですよね。

一方で栄養的な面で見ると、パンはご飯に比べて塩分や脂質が多いのが難点。
パンの生地にはバター・マーガリン・塩などが混ぜまれているので、無意識で脂質や塩分を摂取してしまいやすいのです。

さらに、パンに組み合わせるトッピング(バターやジャムなど)や、おかず(ハムやベーコンなど)も糖質や脂質に偏りがちの傾向があります。
これらの理由から栄養学的な面としては「ごはん」の方がおすすめです。

 

とは言え「朝食はパン派!」の方も多いですよね。
そんな方へ、栄養バランスを整えるための工夫をご紹介します。

【工夫の例】 卵やチーズ、ヨーグルトをプラスしてたんぱく質を補う 野菜スープやサラダ、果物を添えてビタミンを補う 全粒粉パンやライ麦パンを選んで食物繊維を増やす

野菜スープは前日に多めに作っておき、朝は温めるだけにしておけば手軽です。
サラダが大変なときは冷凍の枝豆も使いやすいですよ。

大切なのは「朝ごはんを食べる習慣」を身に付けることなので
子どもの好みやご家庭のライフスタイルに合わせて選択すればOKです。

簡単にできる朝ごはんの工夫

忙しい朝は調理に時間をかけられませんよね。
そんな中でも続けやすいのは「ストック食材」をうまく使うこと。すぐに食べられるものや、調理が簡単な食材を常備しておくと便利です。

 

冷凍ごはん:基本中の基本!常にストック 納豆:そのままごはんにのっければ栄養◎ :5分で調理可能!目玉焼き、卵焼き、オムレツなどアレンジ豊富 ツナ缶やサバ缶:パンにのせてトーストしてもおいしい 魚肉ソーセージ:そのままでも、さっとソテーしても。魚の栄養を手軽に摂取 冷凍野菜:味噌汁やスープにサッと加えられる チーズ・ヨーグルト:手軽にたんぱく質とカルシウムをプラス フルーツ(バナナ、みかん、冷凍ベリーなど):そのまま食べられ、彩りも◎

 

たまにはうどんなどの麺類にするのも良いですね。
冷凍うどんをストックしておけば、加熱はレンジにおまかせ。
つゆは「めんつゆ+ごま油」をかけて、トッピングに「ツナ+刻みのり+ごま」をかければできあがり。

朝ごはんは毎日のことなので、たまにはこのような変化球レシピもマンネリ防止におすすめですよ。

まとめ

朝ごはんは子どもの集中力や体力を支える大切なエネルギー源。文科省や厚労省の調査でも、朝食習慣は学習・体力の基盤に直結することが示されています。

ごはんを中心にすると栄養バランスが整いやすく、パンの場合でも少し工夫をすれば栄養バランス◎になります。忙しい朝だからこそ便利な食材をストックして、無理なく続けられる朝ごはん生活を楽しみましょう。

引用
・文部科学省「早寝早起き朝ごはん運動」(2020)
・厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2023)
・日本栄養改善学会誌 2018; 70(1): 「小学生の朝食内容と栄養摂取状況に関する研究」

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