
「野菜をぜんぶ嫌がる」
「好きなものしか食べない」
「食べない日が続くと、このままで大丈夫なのか不安になる」
子どもの偏食や「食べない」悩みは、保護者からとても多く聞かれます。
毎日のことだからこそ、どう対応すればいいのか迷ってしまいますよね。
この記事では、
偏食は本当に直すべきものなのか、
子どもが食べないときに大切にしたい考え方を、
管理栄養士の視点と、国内の公式データをもとに整理してお伝えします。
偏食は「問題」なのか?
偏食という言葉を聞くと、
「このままでは栄養が足りないのでは」
「食べられるようにしなければいけないのでは」
と不安になる方も多いかもしれません。
けれど、偏食は成長過程の中で多くの子どもに見られる行動です。
大切なのは、偏食そのものを問題として捉えることではなく、
偏食とどう向き合うかという視点です。
日本の公式データから見る「偏食」の実態
実際に、厚生労働省が実施した
平成27年度(2015年)乳幼児栄養調査では、
子どもの食事に関する保護者の困りごとが年齢別にまとめられています。
その結果、
2〜5歳ごろの子どもを持つ保護者の約3割前後が、
偏食や好き嫌いを「食事の困りごと」として感じていることが示されています。
つまり偏食は、
一部の子どもだけに起きている特別な問題ではなく、
多くの家庭が経験している、ごく一般的な悩みだと言えます。
年齢によって「気になりやすい時期」がある
乳幼児栄養調査の結果を見ると、
偏食が特に気になりやすい時期があることもわかります。
とくに、2〜3歳ごろは
偏食や好き嫌いを心配する保護者が増えやすい時期です。
その後、年齢が上がるにつれて、
偏食を困りごととして感じる割合は少しずつ落ち着いていく傾向も見られます。
このことからも、偏食は
「ずっと続く問題」というより、
成長の過程で多くの子どもが通る一時的な姿として捉えることができます。

「食べさせなきゃ」がつらくなる理由
子どもが食べないと、
どうしても「栄養が足りないのでは・・」と心配になります。
その結果 一口でも食べさせようと声をかけ続ける 食べないことを注意してしまう 他の子と比べて焦ってしまう 食べないとおやつなし、など無理強いする
といった関わりになりがちです。
けれど、食事の時間がプレッシャーになると、
子どもはますます食べづらくなってしまうこともあります。
「食べさせなきゃ」という気持ちが悪循環を生み、
食事の時間が苦痛になってしまうこともあるため、
頑張りすぎは逆効果になりかねないと心に留めておきましょう。
偏食は「直す」より「向き合う」
私が管理栄養士としてお伝えしたいのは、
偏食は無理に直そうとしなくていいということです。
大切なのは、
という考え方です。
例えばトマトが苦手な場合でも、
トマトに多く含まれるビタミンCは、
いちごやりんごなどの果物でも補えますし、
トマト缶やトマトピューレなどトマト加工品を活用する方法もあります。
我が家の小学生の娘も実は生のトマトが苦手なのですが、
トマトソースなら食べられるため、
カレーやパスタにトマト缶やトマトピューレをよく使っています。
偏食は、成長とともに変化していくことも多く、
今の状態がずっと続くとは限りません。
子どもの偏食でプレッシャーを感じすぎてしまう保護者の方は、
肩の力を抜いて、もっと気楽に捉えてもらって大丈夫ですよ。
食育の視点で考える偏食
偏食の悩みは、食育の考え方とも深くつながっています。
食育とは、
「何をどれだけ食べたか」を管理することではなく、
食べる経験が、安心な記憶として残ることだと私は考えています。
食育の考え方については、こちらの記事で詳しくまとめています。
▶︎ 食育とは何?家庭でできること|「ちゃんとやらなきゃ」を手放す考え方
また、
1食ごとの栄養バランスにとらわれすぎなくていい、という考え方は
子どもごはんの基本とも共通しています。
▶︎ 子どもごはんの基本|栄養バランスは「完璧」を目指さなくていい

管理栄養士として伝えたいこと
公式データを見ても、
偏食は決して珍しいものではありません。
だからこそ、
「食べないこと」そのものよりも、
食事の時間が安心して楽しめるものであるかを大切にしてほしいと感じています。
偏食があっても、子どもは育ちます。
食べられないものがあれば、その栄養は別の食べもので補えば大丈夫。
安心できる食卓の経験は、必ず子どもの中に残り、
食べることが好きな子どもへ育つ土台となります。
正しさよりも、安心感。
結果よりも、日々の積み重ね。
そんな視点で、偏食と向き合ってみてくださいね。